前回のブログで、ドキュメンタリー映画『食の安全を守る人々』について取り上げましたが、今日は、その映画の内容をさらに掘り下げるべく、2018年刊行された国際ジャーナリスト、堤未果氏の『日本が売られる』について紹介していきたいと思います。

2018年刊行『日本が売られる』堤未果/著

日本が売られる (幻冬舎新書) | 堤 未果 |本 | 通販 | Amazon

そうそう、この本なんですが、『食の安全を守る人々』の映画を観て、帰宅してから自宅本棚にあった『日本が売られる』を再度読み直してみたんです。本自体は2018年に出版されたときに買って読んでいたので、映画の中に取り上げられていた農薬「ラウンドアップ」(商品名)についても予備知識があったから映画を見たときもわりとすっと頭に入ってきたんですよね・・・本って、読んでおくとやっぱり勉強になるなぁ、と我ながら関心したという感じです(笑)

本書は、テーマは農産業などの食の安全のみならず、個人情報、医療制度、労働問題、介護ビジネスなどなど多岐にわたっていて、かなり詳しく暴き出しながら書かれているので、時折難しい内容にはなっています。そして堤未果という敏腕ジャーナリストの熱量がかなり文面をとして伝わってきて圧倒されますので、読まれる際は心構えをしておくことをおススメします(笑)。

2年前にこの本を読んだときは、”ネオニコチノイド”という農薬がどうも危ないものらしいという知識を得たことが記憶に残っています。ミツバチが大量にいなくなった、という背景にネオニコチノイド農薬散布が要因だということが突き止められたという事実が実験結果で実証されたというのです。ミツバチがいなくなると、農作物の受粉をしてくれる役割がいなくなるということで、作物が実らなくなってしまいますよね。これは、私自身、昨年まで梅の会社に勤めていた時にも、とある日の商談で、そんなことが起きている、という話を聞いたこともあり、どこか遠い国の話ではなく、日本でも実際に起きていることにショックを受けました。

KANKIKUの活動を始めてからは、やはり地産地消、国内の食料自給率向上に取り組みたいという意識が生まれたので、P259の「5.考える消費者と協同組合の最強タッグ~スイス」の章はとても興味深く読みました。スイスは食育が国防意識を育てる、という考えを持っているそうで、

食を外国に依存するようになれば、軽税的に恵まれているスイスのような国でも、外交交渉で不利になる。

なぜ、国産農産物を守らなければならないのか。

農家を守ると、スイスの美しい景観や気持ちの良い環境が守られること。

地産地消が共同体を守る仕組みについて。

・・・・チューリッヒ在住で3人の子を持つ栄養士の女性は、地元で採れたものを家族で食べることが、子供たちに自分の国を自分で守る、国防意識の入り口になるのだと語る。

地産地消、国産農産物を買って消費することは”国防意識”を育てることなのか・・・という”国防”という言葉が新鮮に感じました。

2018年刊行の本ですが、2021年の今も、改めておススメしたい1冊です。