スウェーデンのグレタ・トゥーンベリ。2018年15歳の夏、気候変動対策を訴え、ストックホルムの国会議事堂前で学校ストライキを始め、それが世界中にまで広がったというあの有名な少女のドキュメンタリーが今、日本で公開されています。
先日、アップリンク吉祥寺で上映されている、ということでしたので観てきました。
私は、大学時代にスウェーデンに協定留学のため1年間ほど住んでいたことがあり、実は、折しも、2018年8月グレタさんがストライキを始める2週間前、15年ぶりに単身1週間、スウェーデンのヨーテボリを再訪していたのです。留学当時の親友(イラン出身の女性)が移民としてスウェーデンに住んでいたので、久々の再会は夢のようでした。そして、そのときに、「今年はスウェーデンらしからぬ暑い夏だね・・・」とか「山火事があちこちで起きている」という話をしていて、温暖化を目の当たりにしていたので、帰国した2週間あとに、スウェーデンから世界中の若者に気候変動へのデモが広がっていき、ついにはグレタがニューヨークの国連本部でのスピーチのためにヨットで海を渡る、というこのドキュメンタリー映画を観て、これは遠い世界のことではなく、私自身の時間軸の中にあったんだ、という特別な想いを抱きました。
映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』公式サイト (greta-movie.com)
この映画はぜひ一人でも多くの日本の方に観ていただきたいです。
私自身、グレタさんのことは知ってはいたし、グレタさんの本も持っていますが、ネット動画などはあまり観る時間もなかったので、スピーチの動画はきちんと見たことがなかったし、コロナ社会の中、自分と家族の身の回りのことで精いっぱいだったこともあり、この2年の間に、世界に目を向ける余裕があまりなかったことに気づきました。この映画を観みると、世界では気候危機がどのような状況になっていて、国境を超えて、グレタの行動をきっかけに政府、国連をもが動き出している、そして各国の首脳、メディアがどうとらえているか、見えていなかったことが見える、そんな映画になっています。
今年2021年にKANKIKUの事業を始めてから、環境問題にこそ、かなり真剣に向き合うようになりましたが、そんなとき受講していた社会人大学院の講座で「グローカルな視点を持つことって大事ですよね」という言葉を聞いて、「地球規模で考え、足元から行動せよ」(Think globally, act locally.)という考え方に改めて、目覚めました。
そう、では何をしたらよいのか?
気候変動マーチなどデモに参加することもいいかもしれないけれど、足元から行動せよ、ということ。自分の生活を見直すことからやれることはたくさんあります。商品開発にしても、これからは簡単便利・美と健康だけでなく、過剰包装をなくすことで資源の無駄遣いをなくす、必要以上にものを作らないこと、環境に配慮したものを生産し、消費者もそれを選ぶ、という行動、車や飛行機に乗るということでどれだけ環境負荷をかけているか意識する、など。要するに、SDGsの17つの目標に取り組むこと、ということになるのでしょうが、ちょっと鼻につく感じになりそうなのでこういう言い方はしたくないですね・・・
日本のような生活を世界中の人がしようとしたら地球2.8個分必要になる、という言われている、というのは聞いたことがあるかもしれません。今の資源の三分の一で過ごしていく必要がこれからはある、とも言われています。
この映画の中でも、グレタが「みんなが、ティーバッグのお茶ではなくリーフティを飲んで、マイボトルを持ち歩けばいい、とかそういうことではない」というようなことを言っていましたが、この映画を見ると、悲観的になります。
昨年コロナによるパンデミックで世界中の経済が停滞したにも関わらず、削減できた二酸化炭素はたったの7%だそうです。しかも、2021年に入ってからは、逆に二酸化炭素排出量が増加に転じている、というのだから、レジ袋有料だのストローを紙にする、とかそんなちまちましたことやってても意味があるのか?みたいな話になりますよね・・・もう個人でエコなことに取り組むレベルではない、という感じ。
大胆なことを言えば、ボジョレーヌーボー解禁、だとかでフランスからワインを輸入していることって、どうなの?地球の裏側から労働力を搾取して安いコーヒーを大量にコンテナで運んできて二酸化炭素排出し、大量にコーヒーを消費していることってどうなの?というところから、宇宙開発だの、核実験だのされたら、一般庶民は何をやっても無駄ではないか・・・そんなことが頭の中渦巻いてしまいます。でも、たまにはフランスの美味しいワイン飲みたいし、目覚めの1杯のコーヒーで一日の良いスタートが切れるからやめられない・・・そうなんですよね・・・
というわけで、かといっても何もやらないよりはまし、という精神で、私はビジネス営業の経験を生かして、日本の消費社会をまずエコフレンドリーに変えてゆくべく企業と消費者の橋渡しの役割を担えたら、と仕事として取り組んでみようと決めまして、今こうやって切磋琢磨したり、このブログなんかを書いてみたりしているわけです。
この映画の公開と同じタイミングで、気候変動についての国際会議COP26が開催され、脱炭素社会に向けて、世界がつながってきていますが前途多難なのは確か。岸田首相も衆議院議員選挙終えてすぐにグラスゴーへ渡り、COPに出席されていました。とんぼ帰りでしたが・・・首脳たちが目標を設定はするものの、経済成長、経済を保つためには貿易はし続けたい、ということもあり、ジレンマだらけ。
つまり。
この映画を見ると、こうやってモヤモヤ、頭の中カオスになりながら、地球の未来について考えるきっかけが生まれますので、こういうモヤモヤした思いを一人でも多くの人たちと共有できたら、何か新しい方向性が生まれるきっかけになる、そういう意味でおススメします。