2022年4月から、環境省・経済産業省によるプラスチック資源循環の新法が施行され始めました。正式名称は「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」。略して「プラ新法」。

https://youtu.be/6AHv2ZTq4SM

プラスチックゴミ削減の営業支援、商品開発事業をしているKANKIKUとしては知っておかないといけない内容なので、政府が作成したウェブサイトから資料、動画を一通り目を通しました。

国が制作したプラ新法の制度説明動画

率直な感想は、長すぎて聞いているうちに何回も集中力が切れてしまいました(苦笑)制度の資料づくりだけ膨大かつ立派で、わかりづらい。おそらくやらなければいけない細かな条件等の内容が膨大なためにこうなってしまったのだと思われますが、結局のところこういう説明の仕方では、「日本、および世界でのプラスチックゴミを減らし循環型社会にしていく」という目的の遂行には大きな隔たりがある、ということを感じました。

ということで、ややこしすぎるので、環境のきく子が、今日はKANKIKU流にこの新法についてざっくり解説と抑えるべきポイントと私見をお伝えしていきます。

プラ新法 その1:事業者は、使い捨てスプーン・フォーク・ホテルアメニティの提供に工夫を持ってください。

提供の際にプラスチック削減の工夫が求められる業界と製品

こちらの制度の説明を見ていくと、コンビニやスーパー、お弁当屋さんなど飲食関係の小売業で提供されていたテイクアウト用のカトラリーについては、お客様に「必要であるかの意思確認をする」「プラスチック製のスプーンやフォークが必要なお客様には、有料で提供する(3円とか5円とか)」「プラ削減の素材で作られたカトラリーに転換して提供する(無償か有料かは決まっていない)」

KANKIKU私見:レジ袋有料化に続いての取り組みは、使い捨てスプーン・フォークということですが、コロナ禍で増えたテイクアウト弁当容器・総菜のパックのほうがプラスチックゴミ量としては対策をしていくべきものではないか、と思います。その対策については、スパゲッティやどんぶりは紙製の容器に変えているコンビニも出てきているように、プラスチックが安価で便利だから、しょうがないよね、という考え方から、捨てるときにかさばらない、焼却しても二酸化炭素排出量を抑えられる容器(竹パルプやサトウキビ原料紙容器など)での商品開発、提供をしてほしいです。容器の価格がプラ容器よりコストがかかるのであれば、自治体が環境対策予算からの補助金を出すなど工夫できるはず。

ホテルの各部屋にこれまで提供していた歯ブラシやヘアブラシなどの提供について今後は、必要なお客様だけ必要最低限で提供するように推奨してほしい、とのこと。場合によってはフロントにて有料で販売。もしくは、環境配慮素材製品に切り替えての提供を行う。

KANKIKU私見:今年3月下旬、四国を訪れた際に宿泊したホテルでは、非食用米を配合した歯ブラシやヘアブラシを提供され、またアメニティの外装は紙製にされるなど、アメニティ用品の切り替えを4月より前からされるホテルも出てきています。こういうのは宿泊者としても(環境オタクとして)心遣いが嬉しいし、お米を活用というのも好感です。ただ、無償で提供していただけるのは有難い反面、「タダだから、とりあえず何回も使わなくても使い捨てでもいいのかな」「タダだから、3泊するなら3個もらって家に持って帰ろう」と言って持ち帰ってやっぱりいらないから捨てちゃおう、ということもあると思うと、フロントにて、必要な宿泊者が必要な数だけ無償でもらう、ないし有料で購入する、というのでも良いのかもしれません。その場合はホテルの宿泊料に含まれていたサービス料の面で、なんか今まではアメニティも宿泊費の中にあったのではないか?というような消費者側の損得をどうとらえるか、という点をホテル業界は考慮する必要があるかもしれません(例えば、アメニティ提供やホテル清掃の回数によって宿泊費を下げるなど)

プラ新法 その2:事業者が製品を作る際には、プラスチックの廃棄の仕方や分別がしやすいものにし、消費者に説明をしましょう。

プラスチック使用製品設計指針を提示しています。プラスチック製のものがあふれる社会です。丈夫さや衛星面、品質保持などその優れた特性により、プラスチック製品は現代社会にとってなくすことは難しい。しかし、これからはリサイクルシステムをより進めていくために、プラスチックを賢く選んで使っていきましょう、ということですが、まとめると下記のように製品設計をしていくことを推奨しています。

事業者は、プラスチック製品を販売する際には、消費者が捨てるときにどのように分別すれば、リサイクルしやすいかを示しましょう。たとえば、蓋と本体のプラスチック素材が異なる場合は、取って別々に捨てましょう、とか、ペンは再生プラスチックを使用したり、替え芯タイプの製品を勧め消費者が繰り返し使えるアイテムにしましょう、など。そういう発信をしてほしい、ということ。

また、外装などプラスチックの使用材料を減量(ペットボトルでもプラスチックを減量した薄く柔らかいボトルが出ていますね)したものにする、過剰な包装をなくし包装の簡素化をすること、単一素材のパッケージにして使用する素材の種類等を少なくすること、運搬しやすい形状にしたり、焼却廃棄の際は容易化できる(有害プラスチック物質を使用しないなど)ように配慮すること。

KANKIKU私見:わたしが推進する過剰包装の改善などパッケージの簡易包装を推し進めることは大賛成。しかし、食品メーカーさんからしたら、商品の品質保持や鮮度保持のためにあえて特別に開発された複合素材包材を単一素材包材に切り替えることは可能なのか??というところが疑問です。(例えば、マヨネーズやケチャップのチューブ容器など)

プラ新法 その3:事業者における自主回収・再資源化事業計画を進めます。事業計画などの提出について。

事業者には、再資源化ができるようなサイクルを推し進めたい、というような趣旨のことが説明されていますが、プラスチック廃棄には複雑な回収サイクル、経費、国への説明書類が必要になることから、プラ新法のなかで、何が言いたいのかいちばんわかりにくい部分。ただ、かみ砕いていくと、事業者はプラスチック製品を取り扱う際には、なるべく環境に配慮した設計、運搬、廃棄をするように。繰り返し使える製品をなるべく製造してください。著しく環境負荷になるような製品の場合は注意勧告を行います、また逆に環境配慮に沿った優良製品の場合は認定も行う、ということが書かれていると理解していただければと思います。

KANKIKU私見:大手包材総合企業(DNPなど)では、プラ削減の新包材の開発が勧められ、紙素材のパウチ包材などがでてきています。実際、大手化粧品メーカーなどでの導入が始まったりはしております。しかしながら、これらの新包材を商品パッケージに切り替える場合は、これまでの製造工程で使われていた工場内の設備を大幅に変えていかないといけないので、製造現場の稼働を抑えるシステム導入の負担、機械導入だけで何千万円と設備投資に大幅なコストがかかります。そういうことを考えると、一筋縄ではいかないということを痛感します。また、プラスチックをリサイクルすれば使い続けられる、という認識では削減には程遠いです。不要なプラスチックを使用しない、プラスチックはどうしても代替不可能な場合のみ使えるもの、というような意識を広める必要があるのではないか、ということを感じました。

日本は一人当たりのプラスチック容器包装ゴミ排出量が世界で2番目に多い、過剰包装、過剰サービスの国です。なので、当たり前のこととして、過剰なプラゴミを減らすことが先決。

家計管理する家庭と同じ感覚で考えてみるとわかりやすいです。なんでもばかばか買っていたらゴミも増えるし出費も多い。だから、限られた家の空間と家計費のなかでやりくりするには、無駄遣いしない!が鉄則ですよね。家族みんなが健康に暮らせるくらいの生活で、家計をやりくりするにはどうしたらよいか?そんな感覚を国の制度や企業の事業にも取り入れるためには、実際にミクロな家庭生活を実践しながら、マクロに日本におけるプラゴミ削減はどうしたら実現できるか、じぶん事としてみんなで取り組んでいきたいものです。