「日本って過剰包装だと思いますか?」

と聞くと、90%の人が「そう思う」と答える。実際に、日常生活を送っていると、あらゆる買い物の場面で過剰包装だと感じる商品が目につき、そして中身が欲しいがためにわたしもそれを購入せざるを得ない。中には、パッケージのごみにお金を払っているのではないか、と思うほどに容器包装がかさばることがある。

 食品のプラスチックの過剰消費は一番気になる。それが気になるなら買わなければいい、というほど暮らしは簡単ではない。我が家とて、育ち盛りの子ども2人と愛犬1匹のファミリー世帯。限りある家計費を回していくのに、エコエコ言っていられず、スーパーで特売になっているプラスチックパッケージの加工食品などを買うことは避けられない。

 それなら、商品自体を応援したいが過剰包装がネックになっているモノ、改善できるのではないかと思う商品に関しては、消費者の声として、メーカーに要望を伝えよう。そう思い立ち、エクセルで表を作り、一つ一つ問合せメールを送ったり、電話番号しかない場合は、そこのお客様相談室へお電話して、商品のプラスチック削減パッケージをリクエストしてみることにした。問い合わせた内容、それに対する返答をエクセルの表にまとめていった。

例えば、2021年3月には、大手コンビニへ冷やし中華についてメールをお送りした。

東京都在住の木村と申します。
“毎年、夏になるとコンビニの冷やし中華を楽しみにしているのですが
(セブンイレブンさんのは麺のほぐれ具合、のどごしが好きです。
麺のクオリティは一番だと思います)、プラスチック容器の形状を改善できないかと思い、ご連絡させていただきました。
例年、麺の上にまずフィルムをかぶせ、その上にトレーがあり、
具材が別で添えてありますが、プラスチックの使い過ぎではないかと
気になっています。
例えば、麺の上にそのまま具材を置いて、二段トレーをなくすことはできないでしょうか。
日本のひとりあたりのプラゴミ排出量が世界で第2位である、ということを知って、
プラスチックゴミ削減を目指して活動し始めました。
コンビニエンス業界最大手の御社に先駆けになってほしいです。
ぜひご検討お願いいたします。“

それに対して、すぐにお客様相談室より返答がきた。

“ メールを拝見いたしました。
日頃よりセブン‐イレブンをご利用いただきまして、誠に
ありがとうございます。
木村様よりお寄せいただきました「プラスチック容器の形状」への
ご感想は、お客様よりの貴重なご意見として、早速担当部門に
伝えさせていただきます。
ご要望は今後の課題として承り、更にお客様のニーズに合わ
せた取り組みをしてまいります。
ご連絡をいただき誠にありがとうございました。
今後ともセブン‐イレブンをご愛顧くださいますようよろしくお願
い申し上げます。”

納豆の発泡トレー商品もプラスチック消費が気になるところ。ミツカンにもお送りした。

“ミツカン お客様相談センター様
東京都在住の木村と申します。
小学生の子供が二人いる4人家族です。我が家の子供たちは、納豆が苦手ですが、
ミツカンさんの「金のつぶ たまご醤油たれ」なら喜んで食べてくれるほどで冷蔵庫にはいつも常備させていただいております。 しかし、以前から納豆の発泡スチロール容器が環境に配慮したものにならないのものかな、と思いながら購入しています。
昨年、一人当たりのプラスチックごみ排出量が日本は世界第2位だということを知ったことがきっかけです。
また、私の住む西東京市ではプラゴミとしてプラスチック包材は洗って乾かして出す、
ということになっていますが、納豆のねばねばを洗い流すのが結構手間です。
 一方、群馬県前橋市の実家では、納豆の容器など汚れたプラスチック類は焼却炉の性能が良いから可燃ごみで出して良いと聞きました。むしろ、洗ったら排水が出るから、可燃ごみで出すほうが良いという意見も聞きました。
どちらが良いのか、いまひとつわからないまま日々購入している状況です。
コストの面、豆がつぶれないように商品を大切に扱っている理由などはとても理解できますが、国がプラスチック排出をゼロにするという目標を掲げられたそうですし、今後どのように商品パッケージを改善されるのか、現段階の状況を教えていただけますでしょうか。
お手数おかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

日頃は弊社製品をご愛用いただきまして、誠にありがとうございます。
ミツカングループお客様相談センターでございます。

この度は、弊社に納豆容器についてのお問い合わせをいただき、
誠にありがとうございました。
ご家族の皆様に「金のつぶ たまご醤油たれ」をご愛用いただいていることがわかり、大変嬉しく思っております。

お問い合わせの件でございますが、
弊社では環境に配慮した商品開発に取り組んでおり、以下ホームページにて紹介しております。

【環境に配慮した商品開発】
http://www.mizkan.co.jp/company/csr/ecology/kaihatsu.html

納豆につきましては、「プシュッ!とたれ」シリーズにすることにより、
たれ小袋の包装フィルムの縮小薄肉化を実現することにより、
プラスチック使用量の削減に繋げております。

納豆容器につきましても、環境に対応した容器開発が必要と認識しておりますものの、生産・物流効率のよい、四角いプラスチック製のトレーが主流のままとなっており、具体的な対策が進んでいないのが現状でございます。

この度の木村様よりいただきましたご意見を、関係部署に共有し、今後の参考とさせていただきたく存じます。

この度は大変貴重なお声をお寄せいただき、誠にありがとうございました。
今後とも、弊社納豆にご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。“

こちらもすぐに上記のような返答をいただいた。

他にも、成城石井の「ベーグル3個入りの容器トレーはなくせないのか」東洋水産には「アメリカで販売されている紙容器のインスタント焼きそばを日本でも発売しないのか」など、こういう作業を地道にしていったが、やはり同じような回答ばかりで、実際に4年経ったが改善に動いた商品は2025年時点でほとんどない。そして、わたしも心折れて問合せは挫折した・・・

さらには、2年ほど前だが、知人から地方出張のお土産をいただいたときのこと。

それはゆずが香る緑茶のティーバッグだった。

外装を開けたら、さらに内装で個包装されており、衝撃を受けた。外装の裏面には、「お茶を淹れる際に最大限に鮮度を保った香りをお楽しみいただきたいため、二重包装しております」と記載されていた。

品質を最大限に保った状態でお客様の手元にお渡ししたい、というこだわり。そのためにはプラスチックを過剰に包装しても致し方ない、という考えがあらゆる商品にあることを痛感した。

そこまでしてもらわなくて大丈夫です、とわたしは思うのだが、日本の消費者の高い要求、高い満足感を満たすために、売り手は消費者を甘やかしているのかもしれない。

それとも、製造者の思い込みもあるのかもしれない。

パッケージの見栄えや生産効率重視で過剰にプラスチック包装がされている現状は問題がある、と多くの人に認識して改善してもらいたい、そう思うが、「うちの会社は、環境に悪いことをしても今月、来月の売上げを出す必要があるんだ」、と言われたら何も言い返せないのだった。この言葉は実際に、以前勤めていた食品メーカーの社員の方から言われた言葉だ。

その言葉を思い出すたび、過剰包装の問題は、消費者の善意だけでは変えられないのだと痛感する。