市の農業振興計画推進委員に応募して、採用され、市長から委託状をいただいたのは2020年9月29日。わたしは数年前に都市計画審議会の委員を務めたことから、都市農地保全に関心が高まり、今度は食糧自給率向上からの地産地消に目覚め、自分の足元からできることを、という想いで、市内の農業がどのような課題を抱えていて市民としてどのような貢献ができるか、農業関連の委員に応募したのです。会議を通して農業関連の方と知り合って、勉強し探求していきたい!とやる気満々でした。

生産緑地の指定解除に伴い、大量の都市農地が宅地化されるかもしれないという「2022年」を来年に控え、今、営農している農家さんも後継者がいないとか、納税の負担が増えて経営が難しいということで農業をやめて土地を売却する例が立て続けに増えたら・・・農地など緑豊かな郊外都市が魅力の一つだと思っていた町の景色が変わってしまうのかな・・・そんなタイムリミットも感じながらまずは現状を知らないと、と思っていました。

「2022年問題」の参考となるサイトがあります↓

生産緑地の指定解除をめぐる「2022年問題」はどうなるのか? | 住まいの本当と今を伝える情報サイト【LIFULL HOME’S PRESS】 (homes.co.jp)

が、会議の予定となる時期に決まって新型コロナ感染拡大で緊急事態宣言が発令されるタイミングが続き、気づけば1年間、一度も会議が開かれず、宙ぶらりん。2021年に入って、それなら自分で農家さんを訪ねよう、と少しずつ自分から連絡をして農家さんを訪ねる活動を始めました。市の産業振興課農業部へも足を運び、私の思いを伝え何かできることはないか相談。その日はちょうど、市内の農家さんが出荷しているJAの地場野菜直売所で野菜を買った帰りだったので、カバンから「今日はこの野菜を買ってきたんです」とめずらしい”コリンキー”というかぼちゃを取り出して、担当者に見せて、「このかぼちゃ、浅漬けなんかにして生で食べれるんですよね。こういうかぼちゃは数年前に、吉祥寺の駅ビル内にあるオイシックスの店舗で知って、吉祥寺に行かないと買えないと思っていたので、市内で買えるのに驚きました」と話すと、担当者の方が「ここの農家さんは、化学肥料不使用、農薬不使用で野菜を作っているんですよね!場所は、あそこの都営住宅の裏の・・・」と色々教えてくださり、同じ町内なのに知らなかった!ということで、思い切って農家さんに電話をして、翌日訪問させていただくことができました。

バターナッツカボチャ。最近わたしがときめくかぼちゃのひとつ。
自然に近い植え付けで育つかぼちゃ畑@西東京市芝久保町農家の濱野さん

「農業振興計画推進委員」としてちょっと挨拶できれば、というくらいの気持ちだったのに、ご夫婦が温かく出迎えてくださり、市内農家の抱える課題とコロナの状況など1時間ほどお話をしてくだってすっかりこちらの農家ご夫婦のファンになってしまいました。

敷地内の蔵の前が直売所!@芝久保町5丁目の濱野農園

印象的だったおお話。

やはり農薬を使わなかったり、化学肥料を使わないという農業だと、畑仕事の大半は草取りとの闘いの日々ということ。今、市などでも援農ボランティア養成など行っていて、そういう方の受け入れなど市から頼まれることもあるそうですが、「草取りばかりになるので、がっかりされちゃうしなかなか来てもらうのが難しくて、基本的には夫婦2人で切り盛りしています。」訪問した日はとてもきれいに見えたのですが「やっと草取りがひと段落したところだったんです」と。なるほど・・・

また、「子ども農園クラブ」というのを主宰して、昔から地域の方に収穫体験やお餅つきなどのイベントをやってきたということ。「うちみたいな農家は、周りが宅地化していくと砂ぼこりがして困るとか、そう思われてしまうことがよくあるじゃないですか。だから、日ごろから地域の方と交流して”ここに農地があってよかった”って思ってもらえるようにこういう活動もしているんです」

さらには、温暖化や食料自給率に発展。「20,30年前と同じ方法でやっても温暖化や大雨などの気候変動で育てられなくなって毎年苦労している」という切実な話も。「安い野菜が外国から入ってきてしまうから、価格で負けてしまってなかなか経営が厳しい。そういう影響も日本の農家にはずっとあって食料自給率38%しかない日本の現状って、どうなんだろう、よくないよね、そう思っていますよ。コロナになったら、直売所に買いに来てくれるお客さんは増えたけれど、まぁ厳しい時代になっています」

そして「2015年に法律が変わって、都市農地も”宅地化すべきもの”から”あるべきもの”という方針転換はされてきた。けれど、やっぱり営農する厳しさ、相続が発生した時に広い農地だと”相続税1億円納税してください”とかそういう話にもなる。そうなったら、払えないという農家はたくさんあってなかなかやりたがらないよね・・・」

都市農地の保全には、税制度でサポートしないとどうにもならないとなると、私みたいないち市民ができることは、地場野菜をPRしたり、自分自身がファンになって買って食べるとか、そんなちっぽけなことしかないのかな・・・そんな風に考えさせられたのですが、とにかく農家のご夫婦がとても元気で心身健やかな方で、そういう方とお話させてもらうとこちらまで元気をいただきました。

新種のかぼちゃ「ロロン」というものも栽培されてたようで!さっそく買わせていただき、3種類のかぼちゃをこの夏、楽しませていただきました。

2016年新種かぼちゃ「ロロン」ラグビー型のほくほく系かぼちゃ。
バターナッツかぼちゃ。とにかくかわいい。

待っているだけじゃなくて、自分から動く。具体的に動けば、具体的に見えてくる!相田みつをの言葉を思い出しました。市内農家さんに勇気出して連絡とる行動はこれからも続きます!