注:下記の文章は、中東情勢によるホルムズ海峡封鎖からのナフサ不足に世界が混乱する前に書いたものです。今日は、最新状況ではなく当時、環境のきく子ことKANKIKUが肌で感じていた前途多難さをそのまま掲載いたします。
2020年にプラスチック汚染の問題を知ってから、2021年には諸外国でプラスチックを削減ないし、禁止するような法律まででき、SDGsで言えば”海洋汚染につながるプラスチックゴミの問題解決”は急務のような流れができたように見られた。
実際に、ニューヨーク市内の小学校の子ども達が、アクティブラーニングの一環で学校の授業を通じてプラスチックフリーに取り組む様子を描いたドキュメンタリー映画『マイクロプラスチック・ストーリー』が日本でも多くの場所で上映会が開催され、”プラスチックの削減に取り組んでいます”、という企業のPRもそれなりに見られるようになった。”生分解性プラスチックに替えました”、という商材も増加。大手衣料メーカーからも、再生プラスチック使用の製品、たとえばダウンコートや肌着などが登場した。
理想は、新たな石油資源を使ってプラスチック製品を作ることはやめて、再生プラスチック製品が主流になり、不要なプラスチックの使用はなくす、ということだ。
しかしながら、そう思っていたわたしは、昨年(当時なので2024年)国際環境NGOが開いた虎ノ門ヒルズで開催したシンポジウムで、「世界におけるプラスチック生産量はこの20年で増加しており、この増加は今後も続くだろう」というグラフを目にして愕然とした。
シンポジウムでは、環境省の職員や若者による環境団体(サークル)、各専門家も登壇していて、プサンで開かれるプラスチック国際条約の進展について危ぶまれつつ、ここが 大事な段階だ、という話から、プラスチックの環境問題は上流(生産)から中流(消費)、下流(処分)まで前段階でやる必要がある、という話をされていた。
下流のリサイクルを推進する、というところは日本はかなり力を入れてきているのだろうが、やはり上流と言われる生産の部分の規制が緩いのではないか、というのが率直な感想だし、
コロナの影響からか、個包装の商品はますます増え、さらに2025年に至っては共働きで忙しい現役世代向けにも、出来上がったプラスチックパック容器に入った総菜、温めるだけのパウチ商品など時短食品が増え、パン屋などでも一個一個プラスチック個包装され販売されることが目立って増えているように見える。
新興国と呼ばれる国々の食文化も豊かになり経済基盤も拡張されるとなれば、おのずと我々のような大量消費大量廃棄をしてきた先進国のような生活スタイルが実施されることも否定できない。プラスチックリサイクルへの機運の停滞の背景には、おそらくアメリカのトランプ大統領の地球温暖化の科学的根拠を否定し、紙ストローの廃止など「あんなことはする必要がない」と政策転換したことがあるだろう。紙ストローにすればプラスチック削減に大きな成果をもたらすというのは最初から疑問ではあったが、根本的に先進国では不要に過剰にプラスチック消費、そして廃棄をしていることは否めない。
わたしは、この5年間、消費者としてさらに、市場調査のため2年ほどデパ地下の食品スーパーで働きながら消費社会の現場を考察してきたが、日本においては文化的、そしてリスク回避の側面から過剰にプラスチックの必要性を感じ、プラスチック包装をすることは丁寧さ、衛生さの表れのようにポジティブな行為としてとらえられていることを痛感した。
さらに、多くの消費者、とくに主婦などを担う女性たちは環境問題には思いを馳せずとも、自分の“美容と健康”には非常に興味関心が強い。これは、売り手として接客していくなかで、消費者の方々の購買意識のなかに実感した。健康には関心が高いが環境には関心が低い、ということは、例えば欧米など輸入されたオーガニック食材を選びかつ、賞味期限が長い個包装の商品を常時買い続ける、というような事だ。プラスチックがもたらす問題は、自然分解をせずいつまでも残るという物理的なゴミ問題だけでなく、プラスチック製品が廃棄、また焼却される際に発生する化学物質による健康被害がある、ということがまだ知られていないというのがあると思った。
廃棄されたプラスチックが、細かいマイクロプラスチックになりさらに、目に見えないほどのナノプラスチックになり、海に流れでて、それを魚や貝が取り込み、その魚介を人間が食べることで、私たちは毎週クレジットカード1枚分のプラスチックを体内に取り込んでいるとも言われている。最近では、それらの体内に取り込まれたプラスチックと添加剤は環境ホルモンが含まれ、血管を詰まらせ脳梗塞や心臓病などの影響が出る確率が増えたという研究結果も出されている。また、女性では胎盤に蓄積され胎児の成長に支障が出る恐れもあるという実験データも出ており、単なる環境問題ではなく人体における健康問題としても危機感を持つ必要があるのだ。
プラスチックの生産量が今後も増えていくという流れを止めなければ、資源枯渇はもとより、より多くの健康被害が生まれることは間違いない。まずは、世界中の人がプラスチック汚染によって私たち人間の健康にも大きな病気をもたらすことにもなることを知る必要があり、その情報がどうしたら正しく人々に行き渡るのだろうか。こんなに情報社会なのにも関わらず知りたくない情報はシャットアウトするという機能を私たちは無意識に働かせ、便利で楽で楽しいことはやめられない。
それでも、きっと2020年のわたしのように、何かのきっかけで、プラスチックなどの環境問題について正しい知識を知らされ、それが自分事に感じる瞬間が訪れる可能性はだれにでもある。
そのきっかけのひとつが、わたしの書いた記事であればうれしい。
